首都圏郊外では概ね実需向きマンションが主体に
首都圏郊外に位置する東京市部、神奈川県、埼玉県、千葉県では、もともと投資向きのマンションが少なく、実需層むきのマンションが主体となっている。一部、神奈川県の武蔵小杉駅周辺や埼玉県の大宮駅と浦和駅周辺、千葉県の千葉駅周辺などで、投資目的の購入者が注目する物件がみられた程度だ。その分、新築分譲マンション価格は抑えられていたのだが、今回調査では最高価格が1億円を超える物件が目立っている。
東京市部の「サンウッド吉祥寺南町一丁目」(人気指数2.2)は、57.82㎡~73.22㎡の1LDK+DEN~3LDKが1億980万円から2億4980万円。神奈川県の「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」(同2.5)では、44.07㎡~136.04㎡の2LDK~4LDKが6878万円から4億9898万円。埼玉県の「パークホームズ浦和常盤 緑彩邸」(同11.4)は58.56㎡~80.11㎡の2LDK~4LDKが6698万円から1億1298万円。千葉県の「ザ・ライオンズ妙典」(同2.4)は65.61㎡~91.05㎡の3LDK、4LDKが7250万円から1億1900万円だ。
とはいえ、郊外エリアで2億円を超える住戸はさすがに少ない。多くは1億円未満となるのだが、価格水準が全体的に上振れしている印象だ。その結果、7000万円を切る価格帯の3LDKを探すのが、だんだんむずかしくなってきた。
50年返済の長期ローンを利用せざるを得ない状況が垣間見える。価格上昇もそろそろ天井に近づいているのではないだろうか。
実需向け新築分譲マンションの人気指数が上がり始めた東海エリア
今回、愛知県で高人気物件と認定されるマンションが5つあった。半年前の前回調査では4つだったので、1物件増えたことになる。
この2年ほど、愛知県では人気マンションの数が激減していた。が、首都圏や近畿圏の新築分譲マンション価格が大きく上昇したことから割安感が生じ、人気物件が徐々に増え始めたと考えられる。
今回、愛知県で人気マンションとなったのは、名古屋の周辺部で以前から人気が高い住宅ゾーンの物件。名古屋市営地下鉄東山線の一社駅を最寄りとする「パークホームズ一社」(人気指数2.7)や、「ローレルコート一社駅前」(同2.3)、「ザ・ライオンズ覚王山」(同1.7)だ。
最も高い人気指数を出した「ジオ桜山グラン」(同3.0)の最寄り駅・名古屋市営地下鉄桜通線桜山駅も落ち着いた住宅ゾーンとして人気が高い場所だ。実需層が郊外で環境のよい立地の新築マンションを買い始めた。6000万円台までの3LDKが安定的に売り出されれば、人気物件はさらに増えてゆくと予想される。
販売物件減少の動きが出ている近畿圏
前回調査に続き、今回調査でも近畿圏では人気マンションの数が少なめだ。1年半前の調査で、京都府、滋賀県、奈良県、大阪府、兵庫県で31物件が人気マンションに認定されたが、1年前の調査では20物件に減少。半年前の調査では23物件と改善したのだが、今回調査では京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県で14物件とかなり減ってしまった。
大阪府では調査ごとに人気物件が減り、1年前15物件だったのが半年前に10物件に、今回調査では6物件となっている。
中心部の価格上昇が郊外部まで広がってきた影響だろう。そのなか、「プレミスト天王寺 五条」は、小規模の高額物件で高人気となった。地上18階建て全34戸となり、1フロア2戸で全戸角住戸に。112.53㎡~125.63㎡という大型の住戸をそろえ、2億3800万円から2億8800万円という価格設定ながら、人気指数は2.8と高くなっている。
大規模の超高層タワーマンションとは異なる邸宅感で人気を高めるマンションである。
このほか、注目マンションとなるのは、大阪府内で最も高い人気指数を出した「ザ・千里丘プライムレジデンス」(人気指数3.0)だろう。
千里エリアのなかでは比較的価格が抑えられた千里丘駅周辺のマンションで、6000万円台の3LDKを購入できる。抑えた価格のマンションが出やすい千里丘駅周辺だが、同マンションの建設地は坂の上り下りがないフラットアプローチ。そして、駅から徒歩4分の便利さも人気を集める理由と考えられる。
実需層がこのように良質のマンションを探し出しているわけだ。
今回調査において、大規模で人気マンションとなったのが、兵庫県の「ジェイグラン シティ 西明石タワーウエスト」。全体の計画総戸数が800戸となるプロジェクトで、西敷地で先行販売されているのが「ジェイグラン シティ 西明石タワーウエスト」となる。総戸数340戸で人気指数2.0は立派。新快速停車駅の西明石駅から徒歩3分で、新しく開発される街区に位置するなど、人気要素を多く備えている。5000万円台で購入できる3LDKが多いのも、人気の理由である。
近畿圏のマンション市況は、新しい段階に入ったのかもしれない。
一時期、人気マンションが減った感があった京都府では、高人気指数物件が増加。半年前の3物件から今回調査では5物件が人気マンションと認定された。その顔ぶれは、中心地の高額物件がメインとなっている。
周辺エリアの実需向けマンションは、新たな物件が出ておらず、その開発待ちといったところである。
その他エリアの高人気マンション
最後に、その他エリアの人気マンションをまとめよう。
福岡や沖縄、札幌などの地方都市では発売される新築分譲マンションの数が減少し、人気マンションの数も少なめだ。一方で、注目すべき動きもある。
それは、高額住戸をラインナップするマンションが目立つことだ。
今回調査でも、2億円を超える住戸のあるマンションが複数見受けられる。
たとえば、福岡市内の「ザ・ライオンズ大濠公園レジデンス」は101.61㎡の大型住戸を2億2000万円台から2億3000万円台で販売中。この価格設定で人気指数が5.0なので、驚いてしまう。同じ、福岡・大濠公園エリアの「グランドメゾンOne 大濠 park」(人気指数2.2)にも200㎡超えのプランがあり、一部高額住戸が販売されるはずだ(調査時点では価格未定)。
このほか、沖縄・那覇市内の「ザ・レーベン那覇新都市公園プレミスト」(同1.3)には2億8000万円の住戸が、北海道・札幌市内の「ブランズ円山裏参道レジデンス」(同2.1)には2億1700万円の住戸がある。
これら、地方都市の超高額住戸が飛ぶように売れるとは考えにくい。一部の富裕層に好まれている状況だろう。加えて、超高額住戸があることで、マンションの格が上がり、スタンダード住戸の注目度が高まる効果も期待できそうだ。
地方都市マンションの新しい売り方なのかもしれない。
販売開始前で超高人気となったマンション
販売開始前で人気物件の目安・事前人気指数「2」以上となったのは、全国で22物件。半年前の調査で39物件。1年前の調査で30物件、1年半前は37物件だったので、かなり減っていることになる。
そのなかで、販売が開始されれば短期間で完売する可能性が高い「事前人指数10以上」となったのは12物件。半年前の13物件
事前人気指数で最高値となったのは東京都文京区に建設される「ザ・ライオンズ本郷」で、事前人気指数は驚異の「43.8」。全60戸の規模なので、販売が開始されれば、短期間に完売する可能性が高い。
これに「Brillia 早稲田鶴巻町」(事前人気指数28.3)。「プラウド自由が丘ヒルトップ」(25.9)が続く。以上は、すべて東京23区内で発売されるマンションで、すべて戸数が100戸に満たない小規模となる。
戸数規模が100戸を超えるマンションで、事前人気指数が高いマンションを探すと、注目物件が次々に出てくる。
まず、「ブランズタワー横浜北仲」が全704戸で同13.0。「イニシア武蔵小杉御殿町」は、全336戸で同4.3。そして、「プレミストタワー船橋」は、全677戸で同8.5。四国の「エンブレム徳島」は、販売戸数120戸で同2.5だ。
そのなかで郊外の超高層タワーマンションとなるのが、「ブランズタワー横浜北仲」と「プレミストタワー船橋」。「ブランズタワー横浜北仲」は、定期借地権付きマンションとなるが、今、定期借地権方式の人気が上がっている。以前のように「定期借地権なら、2割から3割安い」とはならないが、その分、つくりがよい。それが、最新定期借地権マンションの特性で、「ブランズタワー横浜北仲」もそうなることが予想される。物件に対する期待値は高い。
同様に、多くの人が期待を持って注視しているのが「プレミストタワー船橋」。船橋駅から徒歩2分、千葉県で最高層となり、大型複合開発のマンション……注目要素が多いため、販売前から人気を集めるのは当然だろう。
「人気指数の計算方法」
「新築マンション人気指数」は、資料請求数と販売センター来訪者、そしてマンションの総戸数から算出されるもの。総戸数からみて、多くの人が資料請求をし、販売センターに訪れた物件は指数が高くなり、人気が高い物件とみなされる。
調査期間は3ヶ月。3ヶ月間の資料請求数と販売センター来場組数を聞き取り調査する。資料請求数は10分の1にカウントし、来場組数の実数と合算、それを総戸数(販売対象戸数)で割って、指数を出す。指数1.0以上となるマンションを、人気物件として認定する。
指数が「5.0」を超えると即日完売が発生しやすくなる。「10」を超えれば、全戸が一瞬にして売り切れてしまう可能性が高い。
実際、人気指数10以上のマンションは宣伝を控える。これ以上、客が集まっても対応しきれない、むしろ販売センターが混乱して危険と考えるからだ。だから、「そんなマンションがあったの?知らなかった」という事態が起きがち。大げさな表現ではなく、過去の超人気物件の多くはそのようにして消えていった。
「事前人気指数の計算方法」
「販売前人気指数」は、モデルルームを開く前の資料請求時点での人気度を探るもので、「これからの要注目物件」が浮き上がる指数となる。
その算出方法は、資料請求が始まった時点から調査日までの資料請求数を聞き取り調査する。その数を総戸数で割って指数を算出。指数「2」以上の物件が、販売前人気マンションとして、認定している。
